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2025.10.12

制御設計の仕事とは?必要スキルにやりがいや将来性まで徹底解説

私たちの生活に欠かせない家電や自動車、工場の産業機械には、目に見えない「制御」が組み込まれています。

この制御を設計する仕事が「制御設計」です。

しかし、名前は聞いたことがあっても、実際にどのような仕事をするのか、どういったスキルや資格が必要なのかは意外と知られていません。

この記事では、制御設計の役割や仕事内容から、求められるスキルや資格、向いている人の特徴、やりがいまでを詳しく解説します。

制御設計の仕事に興味がある方や、将来のキャリアを考えている方はぜひ参考にしてください。

制御設計とは?

機械やコンピュータを正しく動かすには、「制御システム」が欠かせません。

ここでは、制御設計の役割や仕事内容、そして回路設計との違いについてわかりやすく解説します。

制御設計の役割と仕事内容

制御設計とは、産業機械や設備を「思い通りに動かす仕組み」を作る仕事です。

機械や装置は、設計された制御システムによって初めて自律的に動作できるため、制御設計は欠かせません。

たとえば洗濯機が洗濯物の量に応じた水位や洗剤の量、運転時間を自動設定できるのも、制御プログラムが組み込まれているからです。

このように、私たちの生活を支える多くの機械は、この制御設計によって成り立っているのです。

制御設計の業務は大きく5つのステップに分けられます。

  1. 要件定義
  2. 仕様策定・設計
  3. プログラミング
  4. 動作テストと改善
  5. 製品への組み込み

これらの工程を通して、機械やシステムを効率的かつ安全に動かすための基盤を整えるのが制御設計の役割です。

制御設計と回路設計の違い

混同されやすい制御設計と回路設計ですが、その役割は異なります。

制御設計は「機械をどう動かすか」を考える仕事で、回路設計は「電子部品をどうつなぐか」を考える仕事です。

回路設計では、抵抗やコンデンサなどの電子部品を選び、配置・接続して特定の機能を持つ電子回路を構築します。

一方、制御設計はその回路を活用し、PLC(シーケンサ)プログラムなどを使って装置の動作手順を設計します。

つまり、制御設計が動作の論理やプログラムを担い、回路設計が電気的な仕組みを担う、という関係です。

制御設計に必要なスキル

制御設計は幅広い知識と技術が求められる専門職です。

ここでは、制御設計に欠かせない代表的なスキルをわかりやすく解説します。

電気・電子・回路設計の基礎知識

制御設計では、電気や電子、回路設計の基礎知識が不可欠です。

なぜなら、制御システムを組む際には、電気回路や電子部品の動作を正しく理解していることが前提となるからです。

大学で電子工学を学んでいると未経験でも入りやすく、実務での継続学習が重要とされます。

しかし、これらの分野は専門性が高く奥も深いため、現場での経験を積みながら学び続ける姿勢が求められます。

プログラミング能力

制御設計にはプログラミング能力も必須です。

その理由は、PLCやマイコンなどの制御用コントローラーのプログラムを設計・修正する作業が日常的に発生するためです。

制御設計では「ラダー言語」などの制御ロジック言語が主流で、トラブル対応や機能追加の際も必須です。

専門講座やオンライン学習、実践を通しての習得が推奨されます。

CADを扱う技術

制御設計には、CADを扱う技術も欠かせません。

CAD(Computer-Aided Design)は、コンピュータを使った設計支援システムやソフトウェアのことです。

制御設計の現場においてCADを効率的に扱えることは、設計図を正確かつ理解しやすく描き、他部署との共有や設計変更への対応が円滑になる点で有利です。

解決策を導くための論理力

制御設計では論理力も求められます。

なぜなら、複雑な機械の動作を正しく設計するためには、一つひとつの可能性を整理し、最適な解決策を導き出す力が必要だからです。

制御システムでは、機械の誤動作を防ぐために細かい手順を決める必要があります。

その際、根拠に基づいて考えられる設計者ほど、仕事の正確性や信頼性が高く評価されやすくなります。

コミュニケーション能力

制御設計には高いコミュニケーション能力も求められます。

理由は、プロジェクトを進めるうえで、多くの専門職と協力しながら業務を進める必要があるからです。

現場では、機械エンジニアや電気エンジニア、ソフトウェア開発者など、役割の異なる人たちと意見を交わしながら作業を進めます。

自分の考えを正確に伝えつつ、相手の立場や意図を理解しながら仕事を進めることで、良好な関係を築き、トラブルの発生も防ぐことができます。

制御設計で持っていると有利な資格

制御設計は専門性の高い仕事ですが、資格がなくても働くことは可能です。

しかし、関連資格を取得しておくと、転職や昇進の際に有利になります。

ここでは、制御設計で役立つ代表的な資格を紹介します。

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験とは、CADソフトウェアを使った設計や製図能力を証明する試験です。

国家資格ではありませんが製造業界で広く認知されており、未経験者でもチャレンジできます。

試験には「2次元CAD利用技術者試験」「3次元CAD利用技術者試験」の2種類があり、それぞれ操作技術や図面作成能力が問われます。

E検定

E検定は、電子制御や通信技術など幅広い知識とスキルを可視化できる資格です。

必須ではありませんが、取得しておくことで制御システムに必要な電気・電子の知識を身につけていることを証明できます。

キャリアを積む技術者にとって、スキルアップや転職時の強みになります。

電気製図技能検定

電気製図技能検定は、制御設計に直結する国家資格です。

電気関連の図面を作成・解読するスキルを証明できるため、実務での即戦力として高く評価されます。

試験は1級・2級・3級に分かれ、学科試験で65点以上、実技試験で60点以上が合格基準です。

正確な図面を描く力は制御設計の基礎であり、この資格を持つことで、実務での信頼性が格段に向上します。

機械設計技術者試験

機械設計技術者試験は、機械や装置の設計に関する幅広い知識と技術を示す資格です。

この試験は1級から3級まであり、その内容は基本的な機械工学に基づき審査されます。

合格率は40%前後です。

制御設計では電気知識に加えて、機械構造の理解も求められるため、この資格を持つことでエンジニアとしての専門性がさらに高まります

制御設計に向いている人とは?

制御設計は、高度な知識と集中力を求められる専門的な仕事です。

ここでは、制御設計に向いている人の主な特徴を紹介します。

機械や装置が好きな人

製品やシステムの動きを考えるのが楽しく、自分の設計が形として現れることにワクワクできる人は、制御設計に向いています。

好奇心や興味を持つ人ほど、日々の業務にも高いモチベーションで取り組めます。

細かい作業や地道な工程が得意な人

制御設計では、図面作成やプログラミング、デバッグなど、一つのミスが大きな不具合につながる工程が多くあります。

そのため、丁寧に確認を重ね、正確に作業を進められる人が信頼されやすく、チームにとって欠かせない存在になります。

コツコツ取り組む性格は、制御設計の大きな武器です。

学習意欲・好奇心がある人

制御技術は日々進歩しており、新しい知識やスキルを継続的に吸収する必要があります。

未知の分野にチャレンジしたり、新しい手法を積極的に取り入れられる人ほど成長が早く、幅広い分野で活躍できます。

変化を楽しめる人は、制御設計の世界で長く力を発揮できるでしょう。

制御設計の魅力とやりがい

制御設計の仕事は、単に回路やプログラムを作るだけではありません。

新しい技術を取り入れながら成長できるおもしろさ、自分の設計が社会や産業を支えるという大きな達成感があります。

技術の進歩に伴い常にスキルアップできるおもしろさ

製造業や工場の制御技術は日々進化しており、新しい技術やトレンドが次々に登場します。制御設計エンジニアは、その最先端の技術に触れながら、飽きずに学び続けることができる仕事です。

AIの応用やIoTとの連携、新しいセンサー技術など、制御分野は技術革新が活発で、継続的なスキルアップも可能です。

こうした経験は、自分の技術力やキャリアを伸ばすうえでも大きな財産になるでしょう。

社会インフラや産業を支える責任感や達成感

制御設計の最大の魅力は、自分が設計・プログラムした設備や装置が現場で実際に動くことです。

家電や自動車、工場設備など、多様な製品や現場で自分の仕事が実際に使われ、社会インフラや人々の暮らしを支えている実感を得られます。

数字や図面だけでは得られない、目に見える成果を体験できるのは、制御設計ならではといえます。

さらに、現場や利用者から「使いやすくなった」「効率が上がった」といったフィードバックが直接届くこともあり、誇りとモチベーションにつながります。

制御設計のキャリアプランと将来性

制御設計は、一度スキルを身につければ長く活躍でき、キャリアの広がりや将来性にも恵まれた分野です。

制御技術は幅広い業界で求められており、今後さらに需要が伸びることが期待されています。

多岐にわたるキャリアプラン

制御設計のキャリアは段階的に広がります。

まずは、エンジニアとして現場で経験を積み、プログラミングやシステム設計、トラブルシューティングの基礎スキルを身につけます。

次に、中堅エンジニアとしてプロジェクトリーダーやチームリーダーを経験することで、大規模プロジェクトの管理能力を養えます。

また、関連資格の取得によって専門知識を深めることも有効です。

最終的には、技術的な専門家として、マネジメントや戦略立案を担うポジションに進むことも可能です。

こうした道を通じて企業内での影響力を高めたり、他の業界への転職も視野に入れることができます。

さまざまな業界で活躍できる将来性

制御系エンジニアは、製造業、自動車業界、家電業界、ロボット産業など、多様な業界で活躍できます。

その知識やスキルは産業機械のみならず、日常生活の製品にも応用されています。

また、スマート家電やエネルギー関連システムなど、環境面を重視した技術分野の需要も高まっており、制御系エンジニアの活躍の場は今後ますます広がるでしょう。

まとめ

制御設計は、製造業や自動車、家電、ロボット産業など、さまざまな分野で欠かせない役割を果たす仕事です。

専門性が高いため、未経験での挑戦や転職はハードルがあるものの、経験を積めば長期的に安定したキャリアを築けます。

技術革新や自動化の進展により、制御設計の需要は今後さらに高まると予想されます。

確かに労働環境が厳しい場面もありますが、それ以上に技術者としてのやりがいや社会貢献の実感が大きな魅力といえます。

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